「仕事が忙しくて追いつかない」、「好きな趣味の時間はゆずれない」。そんなとき、あなたはどうやって時間をやり繰りしていますか? 真っ先に出る答えは、「睡眠時間を削る」ではないでしょうか。
睡眠不足は日中の眠気や疲労、注意力や判断力の低下の原因となり、長期的には学業や仕事の成績が落ちたり、生活習慣病や脳血管・心血管系の疾患のリスクが高まったりします。毎日のわずかな睡眠不足も、数日以上続くと“借金”のように蓄積し、「睡眠負債」と呼ばれるようになります。そしてこの「睡眠負債」は、“返済”しない限りなくならないからやっかいです。
睡眠負債の“返済方法”として多くの人がやりがちなのが、「休日の寝だめ」です。でもこれ、実は健康にとって大きな落とし穴なんです!
睡眠にはある程度の「時間の長さ」の確保が大切ですが、もう一つ、「眠る時間帯」のズレが健康に大きく影響することがわかってきました。海外旅行の際、つらいジェットラグ(時差ボケ)を体験された方もおられると思いますが、そのつらさは、「体内時計」が狂うことで引き起こされます。ここから、日常的な睡眠時間のズレで体内時計が狂うことを、「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」と呼びます。
「ソーシャルジェットラグ」は、就寝時間と起床時間の中央値のズレで見ます。休日に寝だめをするAさんの例を見てみましょう。
平日と休日でソーシャルジェットラグが起こらないようにすることが、健康を考えた睡眠のコツといえるでしょう。ただし、常日頃から睡眠負債が蓄積している人は、たとえソーシャルジェットラグを防いでも休日の寝だめだけで負債を完済するのは不可能です。
基本はやはり、毎日できるだけ決まった時間に十分な睡眠を取ることです。最低でも1日6時間の睡眠を目指して、あなたも一度、生活時間を見直してみませんか?
※グラフ出典:「知っているようで知らない睡眠のこと」(厚生労働省)より加工して作成
https://e-kennet.mhlw.go.jp/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/leaf-sleep_a5.pdf?1738108800119